小池百合子東京都知事と藤田裕司東京都教育長あてに12月28日付で以下の緊急要望(第13弾)を行いました。
東京都知事 小池百合子 様
東京都教育庁 藤田裕司 様
新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらない現状において、医療崩壊を防ぐことに加え、厳しい状況にある全ての方々の命を守るセーフティネットを張り巡らす施策を講じていく必要があります。また、外出自粛や時短営業を要請する中で、厳しい経営を迫られる事業者や雇用を守ることや文化活動の継続を支援することなどが求められます。
また、新型コロナの影響は若者や女性、障がい者といった社会的に弱い立場にある方々により一層困難をもたらしている現状を踏まえた対策が必要です。特に小中高校生の自殺者数が昨年を大幅に上回っていることも踏まえた相談体制や中退や休学を考える大学生への支援を強化していくことも必要です。
そこで、以下の通り要望いたしますので、これまで以上に、関係各局が緊密に連携し、適切かつ迅速な対応を図っていただきますようお願いします。
【医療体制・検査や療養について】
今後、ウイルスの感染力が強くなるとされる季節に入ることからも、年始以降の体制強化を急ぐ必要があります。都では、現在4,000床のベッド確保を急いでいますが、それに応じた人材や資金面のサポート体制や療養体制の強化も行うべきです。そのような観点から、以下の通り、要望します。
・区市町村が独自に小規模・中規模の宿泊療養施設を確保する場合には、これを支援すること。
・逼迫する医療現場の状況に鑑み、新型コロナ感染症以外の重大疾患等を持つ患者への対応について、近隣県も含めた医療機関との連携体制強化を検討すること。
・病室の清掃や消毒、介護等の医療行為以外の業務については、民間人材を活用するなどして医療従事者の負担を軽減できるよう支援すること。
・新規陽性者のうち接触歴等不明者の割合が高いことから、濃厚接触者について国の定義よりも広い範囲に設定し、積極的疫学調査を進めること。
・低価格の民間PCR検査が広がっているが、その精度について課題があることから、陽性と出た場合には保健所で再検査を受けることや陰性だからといって高齢者等と接して良いということにはならないことを周知するとともに、民間事業者との連携体制を構築すること。
【都の感染防止対策について】
感染拡大を抑えるためには人と人との接触機会を減らすことが重要であるが、12月の時短要請においては、人手を減少させる効果が出ていない。また、時間帯によっては人が集中して、かえって密になっているという調査もある。都民の皆様に感染リスクの低い行動をとっていただくために、以下の通り要望する。
・都内全域、どのような業態でも、一事業者あたり○○円という一律の協力金では要請に従うことができない事業者がいることを踏まえた対策をとること。
・時間帯に限らず、少人数(4人以下)、小一時間、大声で話さないといった飲食における注意点を都民の皆様に守っていただけるように、事業者とも連携した啓発を行うこと。また、テイクアウトやデリバリーの活用を促し、大人数での会食をしないなどの啓発を徹底すること。
・東京都の特別警報が出ている状況にあっては、飲食のみならず、企業等へのテレワークの要請をはじめ、仕事や生活の場面ごとに具体的な要請をすること。なお、企業等のテレワークは減税なども含めたインセンティブの付与を検討すること。
・外出自粛や時短営業といったこれまで行ってきた要請について、都民の行動変容を促す効果と感染防止への寄与について検証を行い、エビデンスに基づいた要請を行うこと。
【困難を抱える女性への支援について】
・予期せぬ妊娠や望まない妊娠をしてしまう若年女性が増えていることに鑑み、妊娠相談ホットラインにおけるより適切な支援を検討すること。特に、妊娠葛藤相談については、緊急避妊薬や中絶手術、また受診の継続にかかる費用が必要な方への支援も含めて検討すること。
・困難を抱える女性が妊婦である場合に、緊急一時保護やその後の生活支援に繋がる例が少なく、本年度も自宅での出産や死産、産後の0歳児虐待死などが生じていることから、妊婦を対象とした緊急一時保護をできる居場所を確保し、支援を行うこと。
・若年被害女性の夜間や休日の緊急一時保護を行う場合の居場所の確保について、民間団体の取り組みの実態に即した、さらなる支援を検討すること。また、区市町村窓口や女性相談センター等との連携のあり方について、早急に検討を進めること。その際、現に困りごとを抱えている方々の視点から検討すること。
・DV被害者に逃げる場所があるということを知っていただくため、母子生活支援施設や婦人保護施設等の周知に努めること。
・コロナ禍において面会交流が停止しているなどの困り事も増えており、子どもの権利として両親と接していけるよう支援することが急務であり、ひとり親家庭支援センターはぁとにおいて、相談者の年収にかかわらず 面会交流支援を行うこと。
【学生への支援について】
小中高校生の11月の自殺者数が昨年の2倍となるなどの大幅な増加がみられ、若者の自殺対策は喫緊の課題である。また、全国の大学生の2割以上が集まるとされる東京において、大学生が生活に困窮し、学びを諦めようとしている実態を見過ごすわけにはいかない。そこで、以下の通り要望する。
・国の支援策が世帯や家計を基準としていることから、大学生自身に支援が届いていない可能性に鑑み、大学生自身が申請可能な償還免除付き・生活資金貸付制度を創設すること。
・大学生の住まいの確保について、TOKYOチャレンジネットでは大学生が対象になっていないことに加え、住民票が実家にあるなどして国の住宅確保給付金の対象にもならない学生がいることを念頭に、新たな支援策を検討すること。
・学校休校の影響もあり、授業のペースについていけない、オンライン学習にはまだ不慣れだ、進路に不安があるといった悩みも寄せられている。そのような生徒に対するきめ細かな相談や指導を行うこと。
・入学試験会場における新型コロナ感染症対策や、試験当日に新型コロナ関連の出席停止になっている場合の対応などをまとめたガイドラインを策定し、周知すること。特に、学校ごとに対応の差が出るようなことが無いようにすること。
・新型コロナに起因して、自らの意志で欠席する(選択的不登校の)児童生徒について、オンラインで授業を受けられる環境を整えるとともに、それらを出席として取り扱うよう周知するなど、学びを止めることの無いよう取り組むこと。
・10代の自殺の原因として「学業不振」や「家庭内不和」があげられることから、家庭でも学校でもない第三者による積極的な介入や気軽に相談できる体制をつくること。特に、SNS相談については、繋がりにくいとされる男子生徒への周知も含めて、積極的な周知啓発を行うこと。
【就労支援について】
都の実施するトライアル雇用や各種研修とセットで行う就労支援には一定の効果があると考えるが、経済が悪化する方向にあるときに雇用を拡大したいと考える企業は決して多くはない。そのような観点から、以下の通り要望する。
・企業の業務改善や仕事の切り出しを支援することで、雇用を維持する、もしくは拡大する余力を生み出すとともに、切り出した仕事の外注を促すなどして、仕事が流動化するように促すこと。
・女性や若者、障がい者などの働くことに一定の制約がある方が解雇されやすい現状を踏まえ、必ずしも正規雇用ではなくとも、本人の希望に応じた仕事とマッチングすること。
・ITや介護といった業種に主眼を置いたマッチングや研修のみならず、営業や事務といった職種に主眼を置いた支援策も検討すること。
・視覚障がい者は、鍼灸マッサージで生計を立てている者も多く、コロナ禍の影響を大きく受けて実態を踏まえ、雇用の継続や再就職を支援すること。
【文化支援について】
アートにエールを!事業が緊急事態宣言下の救済策として一定の効果があったことは否定しませんが、内容の審査や活動実績の確認には課題が残り、また不正受給ともとれる事案が報道されているところである。今後は、本来の姿で早期に文化活動が再開できるよう取り組むべきであり、以下の通り要望します。
・文化イベント等の開催や事業の継続にあたり、PCR検査や抗原検査などの費用や感染防止対策にかかる費用の補助を検討すること。
・「アートにエールを」事業については、適切な支援であったのか検証を行い、今後の文化活動の継続を本質的な部分から支援する取組に活かしていくこと。
以上