小池百合子東京都知事と藤田裕司東京都教育長あてに1月5日付で、以下の緊急要望(第14弾)を行いました。

 

東京都知事 小池百合子 様
東京都教育長 藤田裕司 様

 

昨日、国からは緊急事態宣言の検討に入る旨が表明され、東京都では更なる営業時間短縮やテレワークの徹底が呼びかけられました。私たち無所属 東京みらいでは、一律で社会経済活動を止めることに伴う様々なリスクに鑑み、できるだけ影響の及ぶ範囲を小さくするとともに、必要とする方に充分な支援を講じる必要があると考えます。
中でも、コロナ禍の負の影響が女性や障がい者、若者といった社会的に弱い立場の方々に大きく出ている現状や、その生活を支える行政や民間の支援活動にも制限がかかることも踏まえると、今まで以上に多くの都民の生命や生活が脅かされる可能性が高まることが懸念されます。
特に、昨年の学校休校により学びが止まるだけでなく、相談・支援が途絶えたことで虐待や生活困窮などが見えにくくなったことや、ひとり親などの就労継続が困難となる事例があったこと、子ども食堂などの活動ができずに困窮世帯がさらに孤立したこと、妊産婦や乳幼児の健診が実施されずに産後うつなどの精神不調が増加したことなど、これまでに浮かび上がってきた様々なリスクに配慮して、同じ轍を踏まないための事前の準備や体制づくりが必要です。
そこで、以下の通り要望いたしますので、これまで以上に、関係各局が緊密に連携し、適切かつ迅速な対応を図っていただきますようお願いします。

 

【緊急事態宣言について】
・昨春と比べ、企業の資金力が厳しくなり、倒産や解雇が増加する可能性が高まっている。また、都民の新型コロナへの認識も大きく変わっている。こうした変化も踏まえて、実際に行動変容が起きるように、分かりやすい要請や周知を行うこと。
・緊急事態措置の対象範囲と要請内容については、これまでの対策を検証し、対象をしぼって、より効果的と考えられる対策に重点的に取り組むとともに、営業実態に即した協力金を用意すること。

 

【生活困窮者支援について】
・民間団体等の行う子ども食堂や大人食堂、誰でも食堂などの生活困窮者支援の取り組みについては感染防止対策への支援を行い、活動を継続できるよう努めること。また、活動に必要な場所について、都有地や都有施設を積極的に提供すること。
・民間団体の支援活動が、生活困窮者との接点になっていることに鑑み、活動継続資金を支援するとともに、その後の本格的な支援については積極的に連携を図ること。

 

【妊産婦支援について】
・子育て支援ひろばなどの地域の親子の居場所について、少人数や感染防止対策を徹底した上で開館を続けることができるよう支援すること。
・1月4日から開始する妊産婦向け助産師オンライン相談について、不安を抱える妊産婦に届くよう広報を強化すると共に、相談体制を強化すること。

 

【学生支援について】
・学校の一斉休校は行わないよう国に要請すること。その際、学年や成長度合いを加味した感染防止対策を周知するなどして、安全に学校運営ができるよう助言すること。
・仮に学校における対策を強化せざるを得ない場面でも、リアルとオンラインのハイブリッド型とするなど、学びはもとより、学校が果たしてきた見守り機能等を継続すること。
・進路指導の必要な学年の生徒・児童については、特にメンタル面が不安定になることを念頭に、より一層のサポートを行うこと。
・進路指導については、学校だけでなく学習塾等も大きな役割を果たしていることに鑑み、受験指導などを行う学習塾の授業や自習室などの開放については、感染防止対策を徹底した上で営業を継続できるようにすること。
・体調に不安があるなどの理由から自宅学習を選択する生徒・児童について、オンラインでの学習機会を確保するとともに、一定の要件のもとに出席扱いとするなど、学校ごとの対応に差が出ないようにすること。
・アルバイトがなくなるなどの理由から生活に困窮している、あるいは、休校や退学を検討している大学生が増えていることに鑑み、東京都独自の償還免除付き・生活資金貸付などの支援策を講じること。
・就職活動において、内定の取り消しや入社時期の延期が行われる可能性に鑑み、大学生向けの相談体制を強化すること。
・感染状況にかかわらず年間を通じてオンライン授業となっている大学もあり、大学生にとっての成長機会が失われている現状に鑑み、特に来年度以降の大学運営のあり方について、国においてガイドラインを示し、各大学に働きかけるよう要請すること。

 

【若年被害女性支援について】
・年末年始の体制強化について、想定を超えるニーズがあり、費用が不足することが懸念されることに鑑み、上限を定めずに支援に繋がった実績に応じた支援とすること。
・困難を抱える女性と接点をもつことができても、本格的な支援に結びつくことが叶わないケースが散見されることに鑑み、民間支援団体の意向をふまえ、女性相談センターや児童相談所、婦人保護施設との連携体制を見直すこと。

 

【保育について】
・認可、認証、認可外といった運営形態や運営主体に関わらず、全ての保育・幼児教育施設における感染防止対策を支援すること。また、登園自粛が要請される場合にも、利用者負担軽減策などにおいて運営形態や運営主体による差が出ないように配慮すること。

 

【都立公園利用について】
・屋外の公園がクラスターとなった事例はなく、子どもや子育て世帯をはじめ、高齢者や障害のある方など幅広い都民の健康の増進やストレス緩和のためにも都立公園利用の停止は行わず、三密回避を呼びかけた上で解放を継続すること。

 

【事業者等への要請について】
・都内全域一律の時短要請が人流を減らす効果をあげておらず、むしろ開店時間の混雑を助長している。そこで、一律の時短要請ではなく、時間帯によらず少人数、短時間での飲食を徹底するなどして、密にならない要請を行うこと。
・協力金の支給については、地域ごと、業種・業態ごとに必要とする金額が違うことを念頭に決定するとともに、事業者ごとではなく店舗ごとに支給するよう変更すること。
・企業へのテレワークの要請に関するインセンティブについて、制度融資を必要としていない企業にとってはメリットがないことに鑑み、奨励金や減税などの施策も検討すること。また、業界団体を通じた要請のみならず、スムーズビズなどの東京都の各種事業に参画してきた企業に対する直接の働きかけを強めること。
・これまで以上に解雇が行われる可能性に鑑み、雇用を継続した企業への奨励金や減税などのインセンティブを検討すること。
・再就職支援を強化することはもとより、企業の事業継続性を高める業務改善を支援するとともに業務のアウトソーシング支援を行うなど企業側への働きかけも強化して、より多くの方々が働く場所を得られるよう取り組むこと。

 

【医療・療養体制】
・医療体制の更なる強化に向けて、目標の見直しとその達成に向けた必要な支援策について早急に検討すること。
・入院・療養等調整が長引いている状況に鑑み、無症状者や軽症者の宿泊療養を迅速に行えるよう施設確保とあわせて人員強化も含めた体制を整えること。

 

20210105_新型コロナ緊急要望(第14弾)